介護が必要になったとき健康保険でできること

介護と健康保険の関係

はじめに:介護と健康保険の関係

高齢化が進む日本では、介護が必要になる人が年々増えています。介護と聞くと「介護保険」を思い浮かべる人が多いですが、実際には健康保険との関わりも無視できません。というのも、要介護状態になったからといって医療の必要性がなくなるわけではなく、多くの場合「介護」と「医療」は同時に関わってくるからです。

しかし、両者の制度は別物です。介護サービスの費用は介護保険から支払われますが、医療行為や入院費用は健康保険からカバーされます。どちらに該当するのかを正しく理解していないと、「思っていたより自己負担が増えた」ということにもなりかねません。本記事では、介護が必要になったときに健康保険でどこまで対応できるのかを整理し、介護保険との役割分担についてわかりやすく解説します。

1. 介護サービスは「介護保険」が基本

まず大前提として、介護が必要になった場合の基本は「介護保険」です。40歳以上の人は原則として介護保険料を支払い、65歳からは要介護認定を受けることで介護サービスを利用できます。訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームへの入所など、日常生活のサポートは介護保険の領域です。

ただし、介護保険でカバーされるのは「生活の支援や介護サービス」であり、医療行為は対象外です。たとえば褥瘡(床ずれ)の治療やインスリン注射など医療的な処置が必要な場合は、介護保険ではなく健康保険の出番となります。

💡介護=生活支援、医療=治療という線引きを意識すると整理しやすいです。

2. 健康保険でカバーできる範囲(治療・入院など)

介護が必要になったとしても、病気やケガに対する治療は健康保険の範囲です。

  • 外来診察や検査、投薬
  • 入院や手術
  • リハビリテーション(医療保険としてのリハビリ)
  • 在宅医療(訪問診療、訪問看護など医師の指示があるもの)

これらはすべて健康保険証を提示すれば3割負担で受けられます。つまり、介護が必要な高齢者であっても「医療」にあたる部分は引き続き健康保険の対象になるということです。

介護と医療の線引きはわかりにくいですが、基本的に「治療を目的としたもの」は健康保険、「生活支援を目的としたもの」は介護保険と覚えておくと整理しやすいでしょう。

💡医療行為は健康保険、生活支援は介護保険という基本ルールを押さえておきましょう。

3. 介護と医療が連携するケース(リハビリなど)

実際には介護と医療が密接に関わるケースが多々あります。代表的なのがリハビリです。

  • 発症直後のリハビリ(脳梗塞後の機能回復など) → 健康保険の対象
  • 長期的な生活維持のためのリハビリ(体力維持、歩行練習など) → 介護保険の対象

また、退院後に在宅療養を続ける場合も、訪問看護は健康保険、生活支援は介護保険といったように役割分担がされます。この「医療から介護への切り替え時期」をどうするかは非常に重要で、主治医やケアマネジャーと相談しながら最適な制度を組み合わせていくことが求められます。

💡「医療から介護へ」の切り替え時期は制度選びの大きなポイントです。

4. 65歳未満の要介護者の場合の取り扱い

介護保険は原則65歳から利用できますが、40歳以上65歳未満でも「特定疾病」によって要介護状態になった場合は利用可能です。特定疾病には初老期の認知症や脳血管疾患、がんの末期などが含まれます。

ただし、40歳未満で介護が必要になった場合は介護保険の対象外です。その場合は、医療行為は健康保険でカバーされますが、生活のサポートに関しては公的な介護サービスが使えず、自治体の福祉サービスや自費での介護サービスを利用することになります。

つまり、65歳未満で介護が必要な人にとっては、健康保険の役割がさらに大きくなるといえるでしょう。

💡 65歳未満で介護が必要な場合、生活支援は介護保険外となり、健康保険と自治体サービスの併用が重要です。

5. 高額療養費制度との活用方法

介護が必要になると、入院や治療の回数も増えがちです。その際に知っておきたいのが「高額療養費制度」です。健康保険には、1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えると、超過分が払い戻される仕組みがあります。

例えば、入院や手術で医療費が50万円かかった場合でも、一般的な所得水準の人なら自己負担は8万円前後で済みます。さらに、介護サービス費用は別途介護保険から給付されるため、医療と介護それぞれで自己負担を抑えられるのです。

介護が必要な家族がいる場合には、この高額療養費制度をしっかり理解しておくことが、家計を守る大きな鍵となります。

💡 高額療養費制度を理解すれば、医療と介護の両面で家計負担を大幅に軽減できます。

6. 在宅介護と医療費の関係

近年は「在宅介護」を選ぶ家庭が増えています。在宅介護でも、医療面でのサポートは健康保険から受けられます。たとえば在宅酸素療法や訪問診療、訪問看護は健康保険の対象です。

一方、食事や入浴の介助、掃除や買い物といった生活支援は介護保険の対象となります。このように同じ在宅介護でも「医療的ケアか生活支援か」で使う制度が異なるため、両者を組み合わせて利用することが欠かせません。

💡 在宅介護では「医療は健康保険、生活支援は介護保険」と役割を整理して利用しましょう。

7. 介護保険と合わせた制度利用の工夫

実際の生活では、介護保険と健康保険をどう組み合わせるかが重要です。

  • 医療保険でカバーできる治療や処置は健康保険を活用
  • 日常生活の支援は介護保険を利用
  • 高額療養費や高額介護サービス費制度を組み合わせ、自己負担を最小限に抑える

また、医療費控除や障害者控除といった税制上の優遇も同時に活用できます。制度ごとの担当窓口が異なるため、ケアマネジャーや社会福祉士などの専門家と相談しながら、最適な組み合わせを考えるのが望ましいです。

💡 制度の併用は複雑になりがちなので、専門家に相談しながら最適な組み合わせを選びましょう。

まとめ:健康保険の役割を理解して介護に備える

介護が必要になったとき、基本となるのは介護保険ですが、健康保険も欠かせない存在です。治療や入院、医療的なリハビリ、在宅医療などは健康保険の範囲でカバーされ、介護保険と役割を分担しています。

  • 介護保険 → 生活支援や介護サービス
  • 健康保険 → 治療や入院、医療的ケア

この両輪を理解し、制度を正しく組み合わせることで、介護にかかる負担を大きく減らすことができます。家族に介護が必要になったときに慌てないよう、健康保険と介護保険の役割を今のうちから整理しておくことが大切です。

💡 介護と医療の両輪を理解することで、家族の負担を軽減し安心して介護に備えられます。

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