確定拠出年金(企業型・iDeCo)の受け取り方と税金

確定拠出年金の受け取り方

はじめに

確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)は、掛金拠出時に所得控除が受けられ、運用益も非課税となる「税制優遇が大きい制度」です。しかし、積み立てたお金を受け取る際には課税が発生します。受け取り方をどう選ぶかによって、実際に手元に残る金額が大きく変わるため、老後資金計画においては非常に重要なポイントです。

受け取り方法には「一時金」「年金形式」「併用型」があり、それぞれに適用される税制が異なります。本記事では、受け取り方ごとの仕組みと税金の扱い、控除制度、最適な選択の考え方を詳しく解説します。

1. 一時金として受け取る場合

確定拠出年金を「一時金」として一括で受け取る方法です。

  • 税制上の取り扱い:退職所得として課税される。
  • 退職所得控除が適用されるため、多くの場合で課税額は軽減される。
  • 勤続年数や加入年数が長いほど控除額が大きくなる。

退職所得控除の計算の考え方:

  • 勤続年数20年以下の場合 → 40万円 × 勤続年数(ただし最低80万円)
  • 勤続年数20年を超える場合 → 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

例:加入年数30年の場合、退職所得控除は 800万円+70万円×10年=1,500万円。 積立額が1,000万円であれば控除範囲内となり、課税額はゼロになるケースもあります。

💡退職所得控除は「20年を境に計算方法が変わる」のがポイントです。長期加入ほど控除額が大きくなり、課税が軽くなります。

2. 年金形式で受け取る場合

年金のように分割して一定期間または終身で受け取る方法です。

  • 税制上の取り扱い:雑所得として課税される。
  • 公的年金等控除が適用される。
  • 公的年金と合算して税額が計算されるため、年金収入が多い人は課税額が増える可能性もある。

少額ずつ受け取れば一度に課税されるリスクを分散できる一方で、課税対象となる期間が長期に及ぶ点には注意が必要です。

公的年金等控除の考え方

年金形式で受け取る場合は、そのまま課税されるのではなく「公的年金等控除」が差し引かれてから課税されます。年齢や年金額に応じて控除額が変わる仕組みです。

65歳以上の場合

受け取る年金額公的年金等控除額
330万円以下110万円
330万円超〜410万円以下(年金額 × 25%)+ 27万5千円
410万円超〜770万円以下(年金額 × 15%)+ 68万5千円
770万円超〜1,000万円以下(年金額 × 5%)+ 145万5千円
1,000万円超195万5千円

65歳未満の場合

受け取る年金額公的年金等控除額
130万円以下60万円
130万円超〜410万円以下(年金額 × 25%)+ 27万5千円
410万円超〜770万円以下(年金額 × 15%)+ 68万5千円
770万円超〜1,000万円以下(年金額 × 5%)+ 145万5千円
1,000万円超195万5千円

このように、年金額が少ない場合は非課税になりますが、年金額が大きくなるにつれて控除額は相対的に縮小していきます。

💡年金形式を選ぶ場合は「公的年金等控除後の課税所得」を基準に試算することが重要です。公的年金と合算して課税されるため、受け取り方によって手取り額が大きく変わります。

3. 一時金+年金の併用パターン

一部を一時金で受け取り、残りを年金形式で受け取る方法です。

  • 老後の初期にまとまった資金が必要な場合(住宅ローン完済、リフォーム費用など)は一時金で対応。
  • 生活費として長期的に使う分は年金形式で受け取る。
  • 税制上も、退職所得控除と公的年金等控除の両方を活用できる。

ライフプランに合わせて柔軟に設計できる点が大きなメリットです。

💡併用型は「まとまった資金+毎月の生活費」の両立が可能。税制メリットを最大限活かしつつ、ライフスタイルに合わせやすい方法です。

4. 税金面で有利な受け取り方の比較

受け取り方による税負担を比較すると以下の傾向があります。

  • 一時金受け取り:退職所得控除が大きく、長期加入者は非課税になる可能性が高い。
  • 年金形式:少額ずつ受け取る場合は負担が分散されるが、公的年金と合算され課税が増えるリスクも。
  • 併用:控除制度を最大限に活用できるバランス型。

結論として、「退職金を別で受け取らない人は一時金が有利」「退職金が多い人や長寿リスクに備えたい人は年金形式や併用が有効」といえます。

💡自分の退職金・年金・資産状況に応じて「一時金」「年金」「併用」を比較検討するのが賢明です。

5. 受け取り開始時期の選択

確定拠出年金の受け取り開始時期は60歳〜75歳の間で選べます(加入期間によっては60歳受給不可の場合あり)。

  • 早く受け取れば生活資金に余裕ができる。
  • 遅く受け取れば運用を続けられるが、受給期間が短くなる。
  • 公的年金の繰下げ受給(70歳まで)と組み合わせることで、総合的な老後資金戦略を立てられる。

ライフイベント(退職・住宅ローン完済・子どもの独立)と合わせて検討することが重要です。

💡「いつから受け取るか」で老後資金計画の姿は大きく変わります。公的年金の受給時期と合わせて最適化しましょう。

6. 老後資金計画に組み込む方法

確定拠出年金は単独で考えるのではなく、老後資金全体の中で位置づけることが大切です。

  • 公的年金:生活の基礎資金。
  • 企業年金やiDeCo:上乗せ資金。
  • 預貯金やNISAなどの資産運用:流動性資金。

受け取り方を工夫すれば、税金を抑えながら効率よく老後資金を活用できます。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、「手取りベースでどのくらい残るか」を試算しておくと安心です。

💡確定拠出年金は「老後資金のパズルの1ピース」。全体の資産配分を見渡して戦略的に組み込むことが重要です。

まとめ

確定拠出年金は、受け取り方次第で老後資金の手取り額が大きく変わります。

  • 一時金は退職所得控除を活用でき、有利なケースが多い。
  • 年金形式は公的年金等控除が適用されるが、公的年金と合算される点に注意。
  • 併用型なら両方の控除を活かせる。
  • 退職金や公的年金との兼ね合いで最適な方法は変わる。

老後の生活を安心して送るためには、「どの時期に、どの形式で受け取るか」を事前にシミュレーションしておくことが重要です。税金の仕組みを理解し、賢く制度を活用することで、手取りを最大化しながら豊かな老後生活を実現できるでしょう。

💡「受け取り方の選択=老後の手取り額の最適化」。必ずシミュレーションを行い、自分に合った方法を選びましょう。

ライフプランシミュレーション

ライフプランシミュレーション

未来のお金を見える化しよう

教育費・保険・住宅・老後資金など、人生に必要なお金を簡単にシミュレーションできます。
将来の収支や資産形成をグラフと表でチェック!

➔ シミュレーションしてみる
住み替えシミュレーション

住み替えで家計はどう変わる?

現在の住まいと新居の条件を入力するだけで、住み替えによる住居費用の変化をチェックできます。
シミュレーションで負担の変化を見える化しましょう。

➔ 住み替えをシミュレーション