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相続税の仕組みとは?課税対象・基礎控除・税率の基本

相続税のイメージ

はじめに:相続税は誰に、いつ、どうかかる?

相続税は、被相続人(亡くなった方)の財産を相続や遺贈によって取得した人に対して課せられる税金です。しかし「相続税=必ず支払うもの」と思っている方も多いかもしれませんが、実際には、相続税が課税されるのは全体の1割前後にすぎません。

それは、相続税には「基礎控除」という非課税枠があるためです。一定額までの遺産には税金がかからず、それを超えた分に対して段階的に課税されるという仕組みになっています。

本記事では、相続税がどのような財産に対して、どのくらいの金額から、どのような計算方法で課せられるのかを丁寧に解説していきます。

1. 課税対象となる財産の範囲

相続税の対象になるのは、被相続人が亡くなった時点で所有していた「すべての財産」です。これには以下のようなものが含まれます:

  • 預貯金(普通預金・定期預金など)
  • 株式・投資信託・債券などの金融商品
  • 不動産(自宅・貸家・土地など)
  • 自動車、貴金属、美術品
  • 未収金(貸付金・売掛金など)

また、注意すべきは「みなし相続財産」と呼ばれるものも課税対象になる点です。これは形式上は相続ではないが、実質的に相続と同様に受け取ったと見なされる財産で、具体的には以下が該当します:

  • 生命保険金(死亡保険金)
  • 退職金(死亡退職金)
  • 被相続人名義の定期預金の満期金など

これらは相続税の対象となりますが、一定の非課税枠(生命保険金は500万円×法定相続人)も設定されています。

💡 相続税の計算では、「実際に受け取ったかどうか」よりも、「相続により取得したと見なされるかどうか」が基準になります。形式に惑わされず、実質で判断しましょう。

2. 非課税財産とは?生命保険や墓地の取り扱い

すべての財産が課税対象になるわけではありません。相続税には「非課税財産」という区分があり、以下のような財産は相続税の対象外とされています。

  • 墓地・墓石・仏壇・仏具
  • 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人)
  • 死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人)
  • 公益法人への寄付財産
  • 学校法人などへの教育目的の寄付

特に生命保険金については、「500万円×法定相続人」の非課税枠が適用されるため、活用次第で大きな節税効果が得られます。たとえば、相続人が3人いれば、1,500万円までが非課税になります。

💡 相続税対策として、生命保険を活用することは非常に効果的です。非課税枠を上手に利用し、課税対象を減らす工夫が大切です。

3. 基礎控除の計算式と具体例(3,000万円+600万円×法定相続人)

相続税の最大のハードルは「基礎控除を超えるかどうか」です。基礎控除とは、相続財産のうち、課税対象から除外される金額を指します。

計算式は以下のとおりです:

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人の場合は、

→ 3,000万円+600万円×3人=4,800万円

つまり、遺産が4,800万円以内であれば、相続税はかからないということになります。

💡 基礎控除は「法定相続人の人数」によって増減します。相続人の確定が控除額を決定する重要な要素です。

4. 相続税の計算方法と速算表の使い方

相続税は「累進課税方式」が採用されています。つまり、相続財産の総額が多くなるほど、高い税率が適用されます。

以下は、相続税の速算表(法定相続分で取得した場合)です:

課税価格(各人) 税率 控除額
~1,000万円以下 10% 0円
~3,000万円以下 15% 50万円
~5,000万円以下 20% 200万円
~1億円以下 30% 700万円
~2億円以下 40% 1,700万円
~3億円以下 45% 2,700万円
~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

これは「取得額」に応じた税率であり、実際の税額を出す際にはこの速算表が使われます。

💡 相続税は「もらった人ごとに」計算されます。総額に税率をかけるのではなく、各人の取り分ごとに課税されるのがポイントです。

5. 相続税の計算ステップ(総額→各人の税額)

相続税は以下のステップで計算されます:

  1. 被相続人の財産総額を算出(預貯金・不動産・有価証券など)
  2. 非課税財産を除く
  3. 債務や葬儀費用を控除
  4. 基礎控除額を差し引く
  5. 課税遺産総額を、法定相続人の割合で分割(仮想分割)
  6. 各人の取得分に税率を適用し、税額を算出
  7. 各人の特例(配偶者控除など)を反映し、最終税額を確定

このように「財産の合計額から引いて、分けて、かけて、調整する」という流れになっています。少し複雑に感じるかもしれませんが、税理士のサポートを受ければスムーズに進められます。

💡 相続税の計算は、あくまで「仮に法定相続分で分けたらどうなるか」が起点。実際の分け方とは異なっても計算には影響しません。

6. 相続税を軽減するための基本戦略

相続税には多くの控除や特例が用意されており、それらをうまく活用することで大幅に税負担を減らすことが可能です。代表的な対策は以下のとおりです:

  • 配偶者の税額軽減(配偶者は1億6,000万円または法定相続分までは非課税)
  • 小規模宅地等の特例(自宅土地などを最大80%評価減)
  • 生前贈与の活用(毎年110万円の非課税贈与)
  • 生命保険の非課税枠の利用(500万円×法定相続人)
  • 家族信託や法人化による資産移転スキーム

これらを組み合わせることで、実際に相続税がゼロまたは大幅に圧縮されるケースも少なくありません。

💡 「相続税対策」は亡くなる直前では間に合いません。早めに準備を始め、複数年にわたる戦略を立てることが重要です。

まとめ:まずは「仕組み」を正しく理解しよう

相続税は、一見難しそうに感じますが、その仕組み自体は非常にロジカルです。課税対象となる財産を整理し、基礎控除や非課税枠、税率の構造を理解すれば、自分がどの程度影響を受けるのかを把握することができます。

そして、相続税は「対策できる税金」です。控除や特例を理解し、早めに専門家に相談することで、負担を最小限に抑えることができます。相続は一生に何度もあることではないからこそ、正しい知識と事前の準備が大切です。

💡 相続税の基本を知ることは、節税だけでなく“家族を守る”ことにもつながります。まずは「自分に関係があるかどうか」を確認するところから始めましょう。

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