
はじめに
突然の病気やケガで働けなくなったとき、あなたや家族の生活はどうなるでしょうか?長期入院や療養で収入が途絶えると、日々の生活費や住宅ローンの支払いが大きな負担になります。 多くの人が「健康保険があるから大丈夫」と思いがちですが、実際には公的保障だけではカバーしきれない部分があり、就業不能保険や所得補償保険の役割が注目されています。この記事では、制度の仕組みや保険の違い、自営業・フリーランスが特に注意すべきポイントを解説します。
1. 傷病手当金の仕組みとカバーしきれない部分
会社員や公務員などの被用者は、健康保険に加入していれば、病気やケガで働けなくなった場合「傷病手当金」が支給されます。
① 傷病手当金の概要
- 支給要件:業務外の病気・ケガで働けない状態が4日以上続いた場合
- 支給金額:標準報酬日額の約2/3(実質的な手取りの6〜7割)
- 支給期間:通算1年6ヶ月
② カバーしきれない部分
- 満額でも「額面給与の67%」であり、生活水準が大きく低下する可能性あり
- ボーナス・残業代・各種手当は含まれない
- フリーランス・自営業は対象外(国民健康保険に傷病手当金の制度はない)
こうした“収入ダウンの穴”を埋めるのが、民間の就業不能保険や所得補償保険です。
2. 就業不能保険と所得補償保険の違い&選び方
① 就業不能保険とは
病気やケガで働けず、所定の条件を満たすと保険金が月額で支払われる
所得補償よりも「長期的な就業不能」に重点を置いた保険
特徴
- 支払い条件が明確(例:60日以上就業不能)
- 支給開始まで「免責期間」があり、すぐにはもらえない
- 保険期間は60歳・65歳までなど長期契約が一般的
- 精神疾患・がん・脳卒中などへの対応範囲を要確認
② 所得補償保険とは
主に損害保険会社が提供し、短期〜中期的な収入減少を補う保険
「就業できない状態」の日数に応じて保険金が支払われる
特徴
- 比較的短期間の補償に強い(数ヶ月〜1年程度)
- 商品によっては最短4日目から支給対象
- 保険料は安価な傾向がある
- 医師・士業・自営業など専門職向けプランも多い
③ どちらを選ぶべきか?
比較項目 | 就業不能保険 | 所得補償保険 |
---|---|---|
補償期間 | 中長期(数年〜定年まで) | 短期〜中期(数ヶ月〜1年) |
支給条件 | 所定の要件に該当 | 就業不能日数に応じる |
保険会社 | 生命保険会社が中心 | 損害保険会社が中心 |
精神疾患の対応 | 一部対象外あり | 対象外のことが多い |
保険料 | 高め(長期契約) | 比較的割安 |
3. フリーランス・自営業が特に気をつけるべきポイント
フリーランスや自営業の方は、会社員と違って「傷病手当金」や「雇用保険」などの公的保障が受けられない場合が多く、働けなくなった時のリスクが非常に高いです。収入の途絶による生活費の不足に備えるためにも、事前の対策が不可欠です。
① 注意すべき点
- 収入が不安定なため、保険料負担が重荷になりがち
- 保険会社によっては職種による加入制限がある
- 加入時に「証明できる収入実績」が求められる場合あり
② 対策アドバイス
- 所得補償保険など短期のリスクに備える商品から始める
- 少額でも良いので長期型の就業不能保険を組み合わせる
- 事業用と生活費の口座を分け、生活防衛資金を確保しておく
- 医療保険やがん保険と合わせたパッケージ商品も検討の価値あり
まとめ
働けなくなるリスクは、誰にでも起こりうる現実です。 特に長期の治療や療養が必要になると、生活費や住宅ローン、教育費の支払いが困難になることも。 公的保障に頼るだけでは不十分であり、就業不能保険や所得補償保険を上手に組み合わせることで、万が一に備えることができます。