
はじめに
老後資金の準備は、多くの人にとって重要な課題です。長寿化が進む現代では、定年後の生活を見据えた資産形成が求められます。本記事では、老後資金の必要額を試算し、年金と資産運用を組み合わせたシミュレーションを行い、安全な資産形成プランについて解説します。
1. 老後資金の必要額(生活費・医療費・余暇費用など)
① 生活費
総務省の「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦2人のみの無職世帯の平均支出は月額256,521円※1とされています。これをもとに試算すると、
- 1年間の生活費:約26万円 × 12ヶ月 = 312万円
- 20年間(65歳~84歳)の生活費:312万円 × 20年 = 6,240万円
※1:総務省「2024年度(令和6年)家計調査報告」
② 医療費
高齢になると医療費が増加します。厚生労働省のデータによると、
- 65歳から20年間の医療費の自己負担額:約270万円※2
※2:厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」をもとに年齢別の自己負担割合を加味し試算
③ 余暇費用・予備費
旅行や趣味、突発的な支出に備える資金も必要です。仮に年間50万円を想定すると、
- 20年間で1,000万円
④ 老後資金の合計
生活費:約6,240万円
医療費:約270万円
余暇費・予備費:約1,000万円
総額:約7,500万円
2. 年金+運用でいくら必要か?
① 公的年金の受給額
厚生労働省のデータによると、
- 夫婦2人(夫が会社員、妻が専業主婦)の場合:月額約22万円(年間264万円)※3
- 20年間の受給総額:5,280万円
※3:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
② 不足額の試算
必要な老後資金が約7,500万円であるのに対し、公的年金の受給額は5,280万円です。よって、
不足額:約2,000万~2,500万円
③ 資産運用シミュレーション
以下は年利2%での資産形成の例です。
- 30歳から毎月3万円 × 35年:総投資額1,260万円 → 約1,823万円に成長
- 50歳から毎月5万円 × 15年:総投資額900万円 → 約1,049万円に成長
早期から運用を始めるほど、複利の恩恵を受けやすくなります。
3. リスクを抑えた資産形成プラン
① 分散投資の活用
一例として、以下のようなポートフォリオが考えられます。
- 株式(50%):成長を期待できるインデックスファンド(S&P500、TOPIXなど)
- 債券(30%):安定したリターンを得る国債・社債
- REIT(10%):インフレ対策としての不動産投資信託
- 現金(10%):緊急時の資金確保用
② 新NISAの活用
- つみたて投資枠:年間上限120万円、非課税限度額1,800万円(成長投資枠と合算)
- 成長投資枠:年間上限240万円、非課税限度額1,200万円(つみたて投資枠と合算して1,800万円)
まとめ
老後資金として必要な額は約7,500万円と試算され、公的年金だけでは約2,000万~2,500万円が不足すると考えられます。しかし、計画的な資産運用を行うことで、この不足分を補うことが可能です。
特に、若いうちからの長期運用が重要です。無理のない範囲で積み立てを続けながら、リスクを抑えた運用を実践し、老後の不安を軽減しましょう。
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